自由の示すもの

 「自由研究」とはその名が示すとおり好きなテーマを選んで研究をすればよいのであるが、いくつかの暗黙のルールがないわけでもない。それは小学校を卒業すればわかるような類のものばかりなのではあるが、あいにくと自由研究とは小学生に課される課題なのである。

 そこで、せっかくの自由研究シーズンが到来したことであるし、ここはひとつ「自由研究における暗黙のルール」について書いておきたいと思う。この文章を読んでいる小学生がはたして何人いるのかは知らないけれど(たぶん一人もいないけど)、小学生の子どもを持つ親御さんには少しぐらい参考になるだろう。

 まず、自由研究が夏休みに課される課題であることに着目したい。なぜ、平時の課題ではなく夏休みを選んで出されるのか。これは、夏休みにおける小学生はヒマだという前提があり、ヒマだからきっと多くの時間を研究に割くだろうということを期待されているのだろう。少なくとも、二秒で飽きるようなテーマを選んではいけない。

ルール1…研究にはある程度時間をかける
良い例「アサガオの観察」
悪い例「輪ゴムの観察」

 もっとも、単に時間をかければよいというわけではない。やたらと時間のかかる分不相応なテーマは避けるべきであろう。自分が小学生であることを忘れてはいけない。簡単すぎる研究は良くないが、難解すぎる研究もあまり歓迎されないものなのである。

ルール2…小学生らしい研究であること
良い例「アサガオの観察」
悪い例「非イオン性ノニオン活面活性剤の分子構造の観察」

 簡単すぎず、難解すぎず、ちょうどよい加減というものがある。そういうバランスを考えるのが大切なのである。できれば、日常のちょっとした疑問や興味を研究テーマにするのがよい。あまりにも日常と乖離した研究は、少なくとも小学校の先生には受けが悪いのではないかと思うのである。もっとも、日常と密着しすぎた身近すぎる題材を選ぶのも考えものだ。

ルール3…身内の恥をさらさないこと
良い例「アサガオの観察」
悪い例「母の脱毛の観察」

 笑いはとれるかもしれないが、両親の目が三角になるのを見たくはないだろう。やはり、あまり自分に近すぎるのはよくない。研究テーマと自分との間にはある程度の距離感があることも大事である。やはり家族のことは自分に近すぎるし、書くことはやめたほうがよい。だからといって、家族以外ならいいというわけではない。

ルール4…公序良俗に反しないこと
良い例「アサガオの観察」
悪い例「となりのお姉さんの観察」

 「ストーカー規制法」というものを知っているだろうか。自由研究だから、小学生だからといって何でも許されると思ったら大間違いだ。お母さんに盗聴器やピンホールカメラをねだったりしないように。お母さんは「勉強に使うから」という子どもの言葉に騙されないように。

 だいぶ長くなってきたので、このあたりで最後にしようと思う。最後に最も重要なルールを書いておこう。自由研究の最大の目的は何かといえば、少なくとも優れた研究成果を出すことではないと思う。おそらくは「何かやり遂げる」という教育的効果を狙って出される課題ではないかと思うのである。したがって、途中で投げ出すのはよくない。きちんと夏休み中に自分の始めた研究をやり終えなければならないのである。

ルール5…完結させること
良い例「アサガオの観察」
悪い例「アサガオの観察(序章)」