みんなの気持ちはうれしい

 子ども向けのアニメを見ていたら、番組の最後にプレゼントの告知があった。はがきに住所、氏名、年齢、電話番号を書くよう指示されていたのだが、子ども向けなので画面に出るのはすべてひらがなだ。

  ・ じゅうしょ
  ・ しめい
  ・ ねんれい
  ・ でんわばんごう

 それを見て、少し違和感を感じた。

「使命?」

 少し考えれば、「しめい」が「氏名」であって「使命」ではないことはすぐわかることなのだけれど、子ども向けアニメなどを見ていると脳が退行して、そんなことにすら頭がまわらなくなる。それどころか「この設問で現代の子どもの意識調査をするのだろうか」「番組が子どもたちに与える影響を知りたいのだろうか」などと、設問の裏を読み取ろうとする始末だ。そんなことに頭をつかっている余裕があるのなら、半開きになっている口を閉じたほうがいい。

 ところで、考えすぎかもしれないが、はたしてふつうの子どもに「しめい」が「氏名」であり「使命」ではないと気付くことができるのだろうか。私が気付くことができたのは、私が「ひょっとしたら小学生を超えるかもしれない」と評されるほど優れた頭脳の持ち主だからこそである。私より知能が劣っていると考えられる子どもは、全国に三十人はくだらないはずだ。おそらくこの番組には、そのような子どもたちから、勘違いしたはがきが次々と届いているに違いないのである。

  ・ わたしは世界中をお花でいっぱいにしたいです。
  ・ ぼくの使命はバルタンせいじんをたおす!
  ・ あの、ユミさんでお願いします。

 ひとり「しめい」を「指名」と勘違いしているやつがいるのはともかく、こんなふうに全国から使命感に燃える子どもからのはがきが届くのである。考えただけでもわくわくするではないか。番組をつくっている人は、それらのはがきを読んで勇気づけられたり、感動したりすることだろう。そして、最も崇高なる「使命」の持ち主にプレゼントを送るのだ――といいたいところだが、残念ながら「氏名」が書かれていないので送れません。