「このサイト、10周年らしいね」
「ふうん、そうなんだ。近所にメキシコ料理店が開店したときと同じくらいうれしいね。それよりさ、俺の付き合ってる彼女が実はレズだったんだけど、なんか興奮しない?」
「いや、興奮するけどさ。せっかく10周年なんだし、もうちょっとつっこんで聞いてほしいな」
「なに? 10周年? あー、まだやってたんだね。つっても、別に思い入れもないし…。それよりさ、今年のエイプリルフールに俺がついた嘘のせいで友達の家庭が崩壊寸前になってるんだけど、その話聞きたくない?
」
「すげー聞きたいけど。とりあえず今は10周年の話を…」
「まあまあそんな話はいいじゃん。それより、俺のとっておきのギャグを言ってもいい?」
「いいけど…」
「『クリオネをクリオネ』」
「……」
「これはさ、『くれ』っていうのと『クリオネ』っていうのをかけたんだよ。つまり、『クリオネをください』っていうのを『クリオネをクリオネ』っていってるわけ。(ブフッ)」
「…なんで吹いてんの? 10周年の話を中断しておいて、なにそれ?」
「あれ、なんか怒ってる?」
「いま、頭の中で戦闘シーンのBGMが流れてるよ」
「そっかー。とっておきだったんだけどなー。ごめん、次はもっとおもしろいギャグを考えとくから」
「いや、そうじゃなくって。それより、今はもっと話題にするべきことがあるじゃん」
「はいはい、わかってるって。10周年でしょ? で、何が? 椎名林檎が?」
「お前、いまググっただろ。だから、このサイトが10周年だって」
「あのさー、俺らが10年前から登場してるようなキャラだったら、そうやって祝うのもわかるよ。だけどさ、俺らって、いま思いつきで書かれてるだけじゃん。なのに、なんで祝わなきゃならないわけ? この文章が終わったら、俺なんて二度と登場しないわけじゃん。それでお前は許せるの? 俺は絶対にそんなの許さねえからな」
「え、なんでキレてんの? あれ?」
「なーんちゃって、はいコレ(花束を差し出して) おめでとう!」
「え? え? なにこの急展開?」
「10周年だけに十分に執念を感じさせるようにお送りしました」
「ええー!?」