『ふしぎな島のフローネ』に学ぶ無人島生活の心得

家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ
1981年1月4日~12月27日放映(全50話)

 友人に招かれ、スイスからオーストラリアへ移住することにしたロビンソン一家は、オーストラリア直前で船が難破し、近くの無人島に上陸して生活することになる。

 ロビンソン一家は、船の難破をはじめ、さまざまなトラブルに見舞われる。長男が毒虫によって失明しそうになったり、次男がマラリアにかかったり、オオカミの群れに襲われたり、苦労してつくった船がすぐに転覆したり、世界名作劇場の他の作品と比べてもかなり悲惨な目に会っているのだが、全体としてはフローネがちょっぴり変わった南国リゾート生活を満喫している印象を受ける作品である。


左『ふしぎな島のフローネ』21話 海亀の孵化を見守るロビンソン一家
右『ふしぎな島のフローネ』25話 火おこしをするロビンソン一家

 ところで、せっかくの無人島ものなので、ここであらためて「無人島に何かひとつだけ持っていくとしたら何がいいか」という、いわゆる無人島問題を『ふしぎな島のフローネ』を通じて考えてみたい。

 なんでもありの条件ならば、「フローネのお父さん」が最もよい選択だろう。職業は医者であり、無人島生活で頼りになることは間違いない。しかも、サバイバルの知識が豊富で、力仕事や工作も得意とする。医師不足で困っているオーストラリアの人々のために移住を決意するほど高潔な性格である。状況判断力や行動力にすぐれ、物語を通じて失敗らしい失敗といえば、兄にブスと言われて傷つくフローネに「人間に大事なのは姿かたちの美しさじゃない。気持ちが美しいかどうかなんだ」と言って、余計に怒らせてしまったことぐらいか。

 たしかに、フローネはひょうたんのような輪郭、団子鼻、平安眉という特徴的な容姿を持ち、美人といわれるような顔ではない。しかし、表情が豊富で、小柄な体を大きく動かして木登りしたり転げまわったりする姿はとてもかわいらしく感じられる。作画によっては、たまにドキッとするほどブサイクである。

 物品に限るという条件ならば、ロビンソン一家が無人島に持ち込んだものは、医療品、調理器具、調味料、大工用具、着替え、カーテン、銃、双眼鏡、植物の種、聖書、ナイフなど多岐にわたる。アニメを参考にしても、このうちひとつだけを選ぶのは、どれも一長一短で難しい。

 ただし、無人島問題を考えるとき、つい「どうやって生き延びるか」を考えてしまいがちだが、「どうやって脱出するのか」という視点から選ぶことも大切だということがこのアニメをみるとよくわかる。たとえば、ロビンソン一家は大きい布を縫い合わせて帆布にして脱出船にとりつけたが、あらかじめ用意しておかないと無人島ではそれに代わるものを見つけるのも難しいことから、「ありったけの布」というのも無人島問題の有力な答えのひとつかもしれない。


『ふしぎな島のフローネ』48話 ロビンソン一家の船出

 あるいは、無人島問題の答えは人でも物でもないのかもしれない。ロビンソン一家を見ていてつくづく思うのは、心の強さである。なにしろ、無人島にもかかわらず、フローネは算数の勉強をさせられていた。ふつうの神経なら教える方も教わる方も、この非常事態にそんなことをするのに耐えられないのではないか。だが、ロビンソン一家は決して自暴自棄にならなかった。

 いざ、無人島から脱出するにあたっても、自分の現在位置もわからず大洋に乗り出して無事に陸地につく可能性が高いとは思えない。それでも、島の脱出の成功を信じ、踏み切ることのできる心の強さ。それこそが、無人島問題の答えなのかもしれない。

 余談であるが、無人島に上陸してからフローネは、いつも赤いハイビスカスを髪に挿している。その花ことばは「勇敢」である。


『ふしぎな島のフローネ』12話 ポーズを決めるフローネ