『レ・ミゼラブル 少女コゼット』 とびきり虐げられた子

レ・ミゼラブル 少女コゼット
2007年1月7日~12月30日放映(全52話)

 原作は言わずと知れたビクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」。原作が発表されたのは1862年である。文久二年である。江戸時代である。それだけ読み継がれてきたという事実に、まず重みを感じる。

 アニメのほうは、原作を現代向けに翻案しながらもストーリーには厚みと勢いがあり、全52話という長丁場を活かしたつくりになっている。

 細かいことを考え出すと、いろいろと気になる点はある。たとえば、コゼットは成長も行動もしないタイプで、主人公としては物足りない。マリウスは優柔不断で無神経でコゼットがなぜ彼を好きになったのかわからない。奴隷のように扱われているコゼットが大型犬を飼っている設定は不自然。そんなふうに、あえていえば不満な点は多い。

 けれども、この作品は、小利口な理屈で計ろうとすると、その良さを見失ってしまう作品だと思う。

 アニメはコゼットを主人公としているので、コゼットが奴隷のごとくこき使われる前半13話までが特に印象に残る。社会権など影も形もないような時代の話だから、コゼットの扱いは容赦ない。子供が虐げられるシーンが苦手な人は見るのも苦痛だろう。

 食堂の床に置かれたじゃがいもを食べるコゼットを見ていると、別作品だが『小公子セディ』でセディが専属美人メイドにフルーツを手で与えるシーンを思い出した。二人はほぼ同じ年齢だが、とてつもない落差である。


左『少女コゼット』10話 床で食事をとるコゼット
右『小公子セディ』24話 メイドにフルーツを与えるセディ

 『小公女セーラ』では、主人公が落ちぶれつづけて最後に馬小屋で寝起きするようになるが、コゼットは最初から馬小屋暮らしである。


左『少女コゼット』03話 馬小屋のコゼット
右『小公女セーラ』40話 馬小屋のセーラ

 悲惨な境遇だけにコゼットがジャン・バルジャンに救い出されてまともな生活ができるよういになるとほっとするが、それが自分でつかみ取った幸せでないだけに、物足りなさを感じるところもある。