『ピーターパンの冒険』のどたばた予定調和

ピーターパンの冒険
1989年1月15日~12月24日放映(全41話)

①ウェンディがフック船長のせいでトラブルに巻き込まれる
②「助けてピーターパン!」
③ピーターパンのおかげでピンチを脱出

 だいたい、こういうドラえもんみたいなパターンで話が進む。ドラえもんはひみつ道具の種類で③の部分のバリエーションをつけられるが、ピーターパンはそういうわけにはいかない。ピーターパンの飛行能力で飛べないフック船長を翻弄するか、フック船長の弱点である時計ワニを連れてきてフックを追い返すくらいしかないので、またこのパターンかと思うことが多い。一気に続けて見るのには適していないアニメである。週1話のペースで見るぐらいがちょうどいい。


『ピーターパンの冒険』8話 ピーターパンとウェンディ

 おそらく、視聴対象年齢が他の世界名作劇場より低めに設定されており、単純なドタバタ活劇を楽しむ作品である。ピーターパンとフック船長の戦いもあまり緊張感がなく、遊園地のアトラクションみたいなものだ。

 ところで、幼い視聴者にとってピーターパンは正義の味方でフック船長は悪者ということになるが、大人の目で見るとそうともいいきれないところがある。

 本作品を見て気になったのは、フック船長がピーターパンや子供たちを本気で殺そうとしているのに対し、ピーターパンがどこか手加減した対応をしており、本気でそれを阻止しようとしていないところがある。

 ピーターパンの圧倒的な身体能力をもってすれば、フック船長を捕らえたり、ワニのエサにしたりすることなどたやすいことだ。ただ、フック船長の存在があるからこそピーターパンは活躍することができ、子供たちはピーターパンを尊敬してくれる。ウェンディはピーターパンを見てうっとりする。つまり、ピーターパンは自らのステータスを高めるために、フック船長を都合よく利用しているだけなのではないかという疑惑がわいてくるのである。

 そもそも、フック船長が子供たちを殺そうとする動機はあるのだろうか。作品を見る限り、子供たちをつかまえて働かせたり、奴隷商人に売ったりなどの実利を得ようとしているようにはみえない。子供たちは、ピーターパンの巻き添えを食らって命を狙われているだけではないか。

 やっつけようと思えばやっつけられるフックを泳がせ、自らの利益のために利用するピーターパンは本当にヒーローなんだろうか。